車を構成する「駆動系パーツ」とは

車はタイヤが回って走るものですが、その回転はどうやって生まれているのでしょうか。
エンジンが動力を生み出し、それがタイヤに伝わるまでには、いくつもの「つなぎ役」の部品が必要です。
これらの「力を伝えるしくみ」に関わる部品群をまとめて「駆動系(くどうけい)」と呼びます。
今回は、自動車の基本構造のひとつである駆動系について、どんなパーツがあって、それぞれがどんな役割をしているのかを整理してみます。
駆動系パーツとは?
駆動系とは、エンジンやモーターで生み出された力(トルク)を、最終的にタイヤへ届けるための仕組みです。
エンジンがいくらパワーを出しても、それを適切に伝えるルートがなければ車は走れません。
たとえば、エンジンの回転速度は数千回転/分(rpm)とかなり高いですが、そのままの速度でタイヤを回すわけにはいきません。
だからこそ、減速・伝達・切り替え・配分といった調整を行うパーツが必要になります。
主な駆動系パーツの種類と役割
駆動系に含まれる代表的な部品を、順を追って見ていきましょう。
クラッチ or トルクコンバーター
エンジンとミッションを“つないだり切ったり”する役割。
MT車ならクラッチ、AT車ならトルクコンバーターが使われます。
トランスミッション(変速機)
エンジンの回転数とタイヤの回転数を調整する装置。
低速時は力を重視、高速時は燃費重視のギア比に切り替えます。
MT・AT・CVT・DCTなど、種類もさまざまです。
プロペラシャフト
前にあるエンジンから後ろのタイヤへ動力を送る“シャフト”。
FRや4WD車などで使われます。車体の下を通る回転軸です。
デファレンシャル(差動装置)
左右のタイヤに回転差を与えて、スムーズにカーブを曲がれるようにする装置。
LSD(リミテッドスリップデフ)もこの仲間で、滑りやすい路面などでの性能を高めてくれます。
ドライブシャフト
デフから各タイヤに動力を伝えるシャフト。
回転だけでなく“上下動”にも追従できるように、ジョイント構造になっているのが特徴です。
駆動系は動力のパイプライン
駆動系パーツは、車が走るうえで欠かせない「力の伝達路」です。
一つひとつの部品が、「ただ回す」だけでなく、「いつ・どこへ・どれくらいの力を伝えるか」を調整しています。
走りのフィールや燃費、静粛性、さらには耐久性まで、駆動系の設計しだいで大きく変わってきます。
表には出にくい部分ですが、走りを根っこで支えているのが駆動系なんだという視点を持っておくと、車の見方も少し変わってくるかもしれません。


