3Dプリンタに使う「フィラメント」とは

3Dプリンタを使い始めたとき、まず最初に出てくるのが「フィラメントって何?」という疑問です。
インクジェットプリンタにインクが必要なように、3Dプリンタにも材料が必要になります。
その材料が「フィラメント」と呼ばれるもの。
この記事では、フィラメントの基本的な役割と、よく使われる素材の種類について紹介します。
フィラメントとは?
3Dプリンタ(FDM方式)で立体物を作るために使われる、細長い糸状のプラスチック材料のことです。
直径約1.5~3mmのロール状になっていて、プリンタ本体に取り付けて使用します。
ノズル内で高温に加熱されてドロドロに溶かされ、少しずつ押し出されながら積み重なっていくことで、形を作っていくのが基本の仕組みです。
このフィラメントの種類によって、出力のしやすさ・強度・柔軟性・耐熱性・見た目が大きく変わってきます。
たとえば、
- 反りにくくて初心者向けの素材
- 衝撃に強くてパーツ向きの素材
- 湿気や温度に敏感で取り扱いが難しい素材
などそれぞれ特徴がはっきりしています。
最初は「とりあえずPLAでいいだろ」と始めたものの、使い方に合わせて素材を変えるようになってから、造形の安定感や仕上がりが変わりました。
フィラメントの種類
ここでは、代表的なフィラメント素材をいくつか紹介します。
それぞれ向き不向きがあるので「何を作るか」「どんな性能が必要か」によって選ぶのがポイントです。
PLA(ポリ乳酸)
初心者におすすめされる素材。反りにくく、臭いも少ない。
造形が安定していて扱いやすいけど、高温や衝撃には弱いのが欠点。
おもちゃやフィギュア、軽い試作品に向いています。
ABS
強度と耐熱性が高い素材。動かすパーツや実用部品に向いている。
ただし、出力中に反りやすく、においも強め。
ヒートベッドやエンクロージャーのあるプリンタがおすすめ。
PETG
透明感と強度のバランスが良い素材。
PLAより丈夫で、ABSほどクセもない中間的なポジション。
実用品や屋内パーツに使いやすい。
ナイロン(PA)
非常に高強度で柔軟性もある素材。
ギアやベアリングなど、機械的に負荷のかかる部品に使われます。
湿気に弱いため、乾燥保管が必須。
ポリカーボネート(PC)
エンジニアリングプラスチックの一種。耐熱性と強度が最強クラス。
その分、出力難易度も高めで、高温対応の3Dプリンタが必要。
その他の特殊素材
- 木粉入り:木のような質感。見た目重視のオブジェに。
- SMP(形状記憶):熱を加えると形が変えられる。ギプスなどにも使われる。
- PP/PPGW:柔軟性があり、耐薬品性も高いが、出力には工夫が必要。
3Dプリンタで何かを作るとき「どの素材を使うか」=「設計と同じくらい大事な判断」です。
フィラメントごとのクセを知って、用途に合わせて選べるようになると、出力の精度も造形の完成度も上がってきます。
まずは自分のプリンタに合う素材から使い始めて、徐々にいろんなフィラメントを試してみると、DIYの楽しさがもっと広がりますよ。


