アイドリングストップのない車が増えているらしい

「環境のためにエンジンを止める」
そんなイメージのあるアイドリングストップ機能ですが、最近の新型車ではこの機能を搭載していない車種も増えているようです。
省燃費の代名詞のように扱われてきたこの機能が、なぜ減ってきているのか?
そもそもアイドリングストップとは何か、その仕組みとともに整理してみます。
アイドリングストップとは
アイドリングストップとは、信号待ちなどで車が停止しているときに、自動でエンジンを止める機能です。
「アイドリング=エンジンが回りっぱなしの状態」をストップさせることで、燃料消費や排ガスを減らすことを目的としています。
信号待ちなどでブレーキを踏んで完全停止するとエンジンが止まり、ブレーキを離す・アクセルを踏むとエンジンが再始動して発進します。
ハイブリッド車や一部の軽自動車などにも広く採用されてきた機能で、一時期は「省エネ車の定番」のような存在でした。
アイドリングストップのない車が増えている理由
ところが最近のトヨタやホンダ、ダイハツなど大手メーカーでは「あえてアイドリングストップをつけない車」が増えてきているようです。
その背景には、車そのものの進化と、アイドリングストップのデメリットが関係しています。
■ 燃費性能が大きく向上している
まず前提として、車の基本性能が昔と比べて圧倒的に良くなっているということ。
- エンジンの熱効率が上がった
- CVTやATの変速制御が賢くなった
- 軽量化や空力性能の向上
こういった進化によって「わざわざエンジンを止めなくても燃費が良い」という車が増えました。
つまり、「止めて稼ぐ燃費」の必要性が相対的に下がっているのです。
■ アイドリングストップのデメリットが意外と多い
実際に使ってみると「ちょっと気になる」と感じる点も多い機能です。
再始動時にもたつく
信号が青に変わって発進しようとしたとき、エンジンがかかるまでの遅さが気になります。
とくに右折や合流でサッと動きたいときは、ストレスになることもあります。
再始動時のエンジン音が気になる
エンジンが再始動する瞬間に「ブルン」と音や振動があり、静かな室内でかえって目立ってしまいます。
エアコンが止まる
アイドリングストップ中はコンプレッサーも止まるため、夏は冷風が止まり、冬は窓が曇りやすくなることがあります。
今のクルマには止めなくても走れる余裕がある
アイドリングストップは、確かに燃費改善に効果のある技術です。
でも今の車は、それを使わなくても十分に低燃費を実現できるようになってきています。
その上で、再始動のタイムラグや快適性への影響があるなら、あえて使わないという選択もあり。
メーカー側も、ドライバーのニーズを考えて「搭載しない」「常時オフにできる設計にする」といった対応を進めているわけです。
これから車を選ぶとき、「アイドリングストップの有無」にこだわりすぎる必要はないのかもしれません。
むしろ、止めるかどうかより「止めなくても燃費がいい」という時代に入ってきている、と感じます。

