CAEとは?初心者でもわかる基本とCADとの違い

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設計の現場ではよく出てくる「CAE」ですが、仕組みや使いどころまでは意外と知られていません。
この記事では、CAEの基本とCADとの違い、できることをざっくり解説します。

CAEとは?

CAE(シーエーイー)は「Computer Aided Engineering(コンピューター支援工学)」の略です。
簡単にいうと、設計したものがちゃんと動くか、壊れないか、熱くなりすぎないかといった性能面をシミュレーションでチェックするための技術です。

例としては、金属のパーツを作る際「この厚みで大丈夫か」「ここに力がかかったら折れないか」という不安ってありますよね。
CAEは、それを試作しなくてもパソコン上で仮想的にテストできるツールなんです。

とはいえ、CAEが出してくれるのは答えではなく、あくまでも判断材料。
シミュレーション結果をどう読み解くかは、エンジニアの目と経験が必要になります。

CADとの違いは?「形を描く」と「性能を試す」

CADは「形を設計するソフト」。
一方、CAEは「その設計をシミュレーションで試すソフト」です。
両方ともコンピューター上で使うので、混同されがちですが、目的は異なります。

・CAD:部品の形や寸法、組み立て方を決める
・CAE:その形が実際に使ったときにどうなるかを確認する

設計の現場では、CADで形を作って → CAEで性能をチェック → 必要なら設計に戻る、というループを何度も繰り返します。
ちなみに、最近は「CADとCAEが一体化したソフト」も多くて、SolidWorksやFusion 360なんかはその代表例です。

CAEでできること

CAEの世界にはいろんな種類がありますが、よく使われるのは以下の3つです。

構造解析(応力・変形)

一番ベーシックな解析です。
部品に力をかけたときに、どこに負荷が集中するか、どれくらい変形するかをチェックします。

熱解析(温度分布)

発熱する部品や、熱を受ける環境にあるパーツに対して、温度の広がり方や冷え方を見る解析です。
電子機器やバッテリーの冷却設計でよく使われます。

流体解析(CFD)

空気や水など、流れるものの動きを見る解析です。
車の空力、ファンの風の流れ、配管内の水圧など目に見えない流れを「見える化」できるのが特徴です。

これらをうまく使うことで、設計の信頼性や製品寿命を高めることができます。

CAEは「正解を出すツール」ではない

よくある誤解ですが、CAEを使えば正しい答えが自動で出るわけではありません。
どれくらいの力をかけるか(荷重条件)、どこを固定するか(境界条件)、材料の物性値など、入力するデータが正確じゃないと、結果も意味を持ちません。

つまり、CAEは使い方次第。
どんな設定で、どんな前提で、どこを見て判断するかによって、出てくる結果の価値が大きく変わってきます。
ツールに頼りきるのではなく「何を確かめたいか?」を意識することが一番大事。
それさえブレなければ、CAEは設計者の強い味方になります。
まずは小さなモデルからでいいので「試す」ことに慣れてみるのがおすすめです。